建設関連産業未来の集い2018

2019年3月7日

総合

「誰もが活躍できる建設関連産業 ~本当に女性も活躍できるか~」

日  時:平成31年1月18日(金)

 

 

1 未来の集いとは

「未来の集い」は、若手マンパワーアップ小委員会によって企画されたイベントである。本委員会は平成28年に設立され、概ね3回/年のペースで企画されているが、入社数年の若手~学生の参加が多いというのが、建設関連産業が行う他のどのイベントとも異なる特徴となっているのではないだろうか。

「未来の集い」は、建設関連産業に従事する若手、もしくはこれから就職を考えている学生を対象に、本音を語り合える場、情報を共有できる場を提供することを目的に企画されたものである。

 

2 講演

(有)MAX・ZEN performance consultantsの代表取締役である丸山結香氏を講師に招き開催された。丸山氏はアメリカ留学と勤務の経験があるとのことで、自分の考えをはっきりと理論立てて説明する姿は、アメリカでの経験に裏打ちされているように感じた。本講演の中で印象に残った2点を簡単に紹介する。

 

 

(1)ケア重視でフェア軽視の問題

2016年に女性活躍推進法が施行されて以降、多くの企業は女性に対し手厚くケア(例えば、産休、育休、時短等々)をするようになったが、それはフェアを意識した上で行われたものではないため、以下のような問題が生じているという。

  1. ケアされた女性はその組織に甘えてしまう。
  2. ケア対象外の女性(男性も含む)の仕事が増え不公平感が生まれる。
  3. 組織が上手く機能しなくなる。

丸山氏は、フェアを意識したやり方によって上記の問題が解決され、組織が機能し生産性が向上するようになることを、資生堂の取組を例に説明された。思わず自社の取組をイメージし不安を感じたと同時に、非常に大切なことを学んだと感じた。

(2)なぜダイバーシティか?

ダイバーシティの本当の意味(メリット)が分かりかけたと感じた。丸山氏は留学時に数多くのディベート(討論)を行った経験があり、そこでは、自分の意見とは正反対の側で討論させられることもあったようである。そして、討論を経て理解できたことがあったとのこと。それは、まったく自分の考えと異なる人がいることと、異なる考え方もありえるということが分かったのだという。これがダイバーシティの重要なところだと。私の文章力が不足しており分かりづらいかもしれないが、たぶんこういうことではないかと思われる。同じような人間が集まって、結果が見えているような討論らしきものを続けていても、そこに人間としての成長はないのではないか。異なる価値観をもった人と、意見のぶつかり合いを恐れず、お互いが自分の中にあるものをすべて出し切ったときに、本当の意味での成長や進化があるのではないか。これを言葉で表したものがダイバーシティであると私は理解した。日本では、討論せず相手の意見に賛同する場面によく遭遇するが、これはダイバーシティではないかもしれない。

 

  

3 パネルディスカッション

コーディネータは、お馴染み新潟大学の大竹准教授が行い、パネリストは、丸山氏、山田彩乃氏(地域活性化ガールズ集団Lily&Marry’s)、今井裕子氏(新潟県土木部)、数間藍氏((株)福田組)、小出央人氏(新潟大学学生)、江川(キタック)の7名で行われた。ミス・アース日本代表として世界で戦った経験を持ち、モデルとして活躍している山田氏は、独立を目指す女性に大きな刺激を与えたのではないだろうか。技術者であり子育てをしながら働いている今井氏は、現在働いている女性にとって、様々な意味で参考となる大切な情報を提供したのではないだろうか。若くして現場代理人として活躍している数間氏は、女性でも十分活躍できることや、上司との楽しいやりとりの話など、この業界での活躍が期待される若手や学生に明るい未来を提供したのではないだろうか。学生として参加し、これまでの人生経験と重ね合わせ感じた疑問をストレートに表現した小出氏は、参加者全員の共感をよび、世代間を越えた問題意識の共有を提供したのではないだろうか。

 

 

4 交流会

若手や学生同士が交流を広げ、私を含めベテラン勢も臆することなく一緒になって楽しむ様子は、建設関連産業の未来が明るいものであることを想像させてくれた。