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 ● 「雑草」という名前の草は?

私の生まれは、魚沼市(旧・北魚沼郡守門村)です。日本有数の「超・豪雪地帯」です。記憶はかなりボケましたが、38と56豪雪の時には6m位の積雪があったと記憶しています。かなり昔ですが、冬場に鹿児島県辺りから行商に来た人から、「この雪が消えるのに何年かかりますか???」と、真顔で訊かれたことがあると、お袋が笑ってました。

そんな超田舎の次男坊として生を受け、幼少の砌より山野を駆け回りながら生活していました。当然のことながら、生家の家業は農業。農業と出稼ぎでなんとか生きてきた・・・というのが実感です。

小学校や中学校のころ、夏場はきまって学校から帰ると「畑の草取り=雑草とり」が子供の日課でした。田舎の農家では、子供達も労働力の一員ですから、毎日ご飯が食べたければ、役割をサボル事は許されませんでした。(働かざるもの食うべからず。)

ですから、特に真夏の暑い時期などは、子供達にとって「雑草=敵!」のような存在。

「雑草が無ければ、どんなに楽か」とばっかり考えていました。



20歳の年に新潟に来て、学校を終って最初についた仕事が造園工事業。その後も植物に関係する仕事を続けて来た中で、ある時から急に気になりだしました。

「雑草って何?」

子供の頃から、雑草=あ、あれね!みたいに、わかったような気になっていた訳ですが、実は「雑草なんて名前の草は無い!!!」ことにぶちあたった瞬間は、かなり衝撃的でした。そして、同時に大いなる自己嫌悪に陥りました。

・水田では、イネ以外はみんな雑草

・畑では、野菜や果物以外はみんな雑草

・ゴルフ場では、芝以外はみんな雑草

・花壇では、花以外はみんな雑草

つまり、人間にとっての目的物以外の植物達を、みんなひっくるめて「雑草=要らないもの=邪魔なもの」と呼んできたわけなんですね。これって、ひょっとすると、かなり傲慢な考え方なんじゃないのでしょうか?

「雑草」「雑煮」「雑巾」「雑穀」・・・。差別用語? 行き着く先は、「選ばれし人間」と「雑人間」なのかも知れません。かつての「雑兵」のように・・・。



世に雑草と呼ばれている草達も、目線を下げてよくよく見ると、なんとも個性的な連中なんですよ、これが・・・。彼ら(彼女ら?)は、生きんがために、ほんとうにうまく環境に適応して、一生懸命頑張っていますよ。その巧みさには全く頭が下がります。戦後生まれの軟弱なわれわれなんかには、到底まねのできない根性と、したたかさを身につけています。

誰にも頼らず、いいわけもせず、もちろん人の手も借りず、自分に必要な栄養は自分で作り出す。われわれ人間のように、人様をだまくらかして上前をはねたりなんか決してしません。

なのにわれわれは、彼らを「雑」と呼ぶ。



道徳も倫理もへったくれも無くなってしまったような、暗いニュースばっかりが茶の間を賑わす昨今です。地べたをはいずるようにして慎ましやかに生きている「雑草さんたち」のところまで目線を下げてみることも、時には必要なんじゃないだろうかと感じている昨今です。

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